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化学物質過敏症について、化学者が思うこと

 先日、はてなブログ化学物質過敏症というタイトルのブログを拝読しました。

 

chikirin.hatenablog.com

 

 

化学物質と聞くと化学者としては「おっ?」と自然に反応してしまいます。

 

僕自身、化学物質過敏症という言葉をこのブログで初めて知りました。

 

日常に溢れている化学物質によって引き起こされる頭痛、めまいなどの身体症状を引き起こす疾病らしい。

 

本態性環境不耐症とも呼ばれる。

 

化学物質過敏症 - Wikipedia

 

僕の薬学知識から説明すると、本態性=原因不明という意味。

(因みに本態性高血圧とは、原因不明の高血圧のこと。現代の高血圧はほとんどこれ。その診断が良いかどうかは議論の余地がある。)

 

 

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

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Chikirinさんのブログによると原因物質は農薬、シロアリ駆除剤、除草剤、建材や合板家具、塗料、タバコ、消臭剤や芳香剤、スプレー式防虫剤、柔軟剤などなど。

 

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化学物質の一例

 

化学者からしたら見事にミソもクソも一緒にしたようなラインナップ。

 

だから本態性=原因不明というのは頷ける。

 

原因となる化学物質はクソミソ、症状も個人差があるから仕方ないね、というのでは化学者として不謹慎である。

 

 

化学物質過敏症の問題を整理してみよう。

 

とりあえず当面の悪役に晒されているのは柔軟剤の成分イソシアネート、これに焦点を当ててみよう

 

 

 

原因物質、イソシアネートについて

 

1、イソシアネートはとても反応性が高い。

 

実験では化学反応の途中でイソシアネートが生成する事はあるが、反応性が高いのでそのまま取り出す事は難しく、大抵はイソシアネートが反応の中の水やアルコールと反応したカルバメート、カルバミン酸、さらにカルバミン酸が分解したアミンという形で取り出すような成分である。

 

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クルチウス転位 - Wikipedia

 

細かい事は置いといて、とにかくイソシアネートが皮膚、眼、気管に直接触れるような事があれば、すぐさま表面の淡白と反応して炎症を起こす事だろう(でもこれは急性毒性で、触れた部分が急激に損傷するので本題の化学物質過敏症とは異なると思われる)。

 

 

 

2、柔軟剤の香りを持続させるためにポリマーのマイクロカプセルに香り成分を封じ込めたモノが販売されているらしい。

 

その技術に関しては富士フィルムのHPで確認できる。

fujifilm.jp

 

 

ポリマーとイソシアネートの関係だけど、ポリウレタンという種類のポリマーの原料はイソシアネートである、これは事実。

ポリウレタン - Wikipedia

 

しかしポリウレタンはすでにイソシアネートが反応した後の成分なのでもちろん手に触れても何も起こらない。ウレタン性の家庭用スポンジや低反発枕を使っても大丈夫でしょ。

 

ポリウレタンが分解してイソシアネートが発生するってのは、水分なし、強酸条件あるいは超高温、紫外線照射くらいしないと出ないのでは。太陽光の紫外線。。。ううむ、ないとは言いきれない。

 

一方でマイクロカプセルを調製する過程で未反応のイソシアネートが封じ込められて、それがマイクロカプセルの劣化で香りと共に放出されるってのはあるのかもしれない。

 

イソシアネートは反応性が高いから空気中の湿気と反応して直ちにカルバミン酸⇨アミンになると思われるが、これはあくまでも溶液中の話。

 

揮発してイソシアネートが気体になってしまったら気体ー気体間(この場合、イソシアネートの気体と水蒸気)の反応は起こりにくいから実は思った以上に半減期が長いのか?(物質の状態と反応に詳しい方、よければ教えてください)

 

 

3、柔軟剤にポリウレタンは使われてるの?

 

花王。小さい頃から愛の劇場はよく見てました。

ハミングのHPを見た感じ、それらしいポリマーは成分に書かれていない。

花王株式会社 ハミング ハミングファイン リフレッシュグリーンの香り 成分情報

 

P&G。

香りのマジックビース。。。お前か?お前なのか?

香りのマジックビーズ|イノベーション|暮らし感じる、変えていく P&G

 

しかし企業秘密なのかマジックビーズの成分に関する情報は得られなかった。

 

とはいえポリウレタンと香料のマイクロカプセル技術の特許はたくさんあるようなので、それが使われているのか使われていないのかは何とも言えない。

 

mukouryou.blogspot.com

 

 

一応、富士フィルムーマイクロカプセルの機能、にはポリウレタンに香料の用途は記載がない。

fujifilm.jp

 

とりあえずここまでは事実と想定できることをまとめただけ。

 

 

Chikirin氏のブログを読んで一化学者が思うこと

 

テレビ番組の内容より

 

症状が重くなると電車やバスに乗ることができず、全国にいる数少ない専門医の病院までたどり着けない患者さんもいる。

 

治療法は確立されておらず、できるのは化学物質を避けることだけ。

 

今までの家に住めなくなる、近所の洗濯の柔軟剤が原因になる、田舎に行けば散布される農薬や除草剤があるからダメ。

 

小さな子供までかかっている。

 

学校の椅子、机はダメ、教科書のインク、床ワックス、ホワイトボードのマジック、トイレの消臭剤もダメ。

 

子供は何時間も鼻血が止まらなくなったりして本当に大変そう。

 

 

 Chikirin氏の感想より

 

怖いのは花粉症みたいに増えてくるんじゃないか。

 

昔は花粉症も食物アレルギーも今より少なかった。

 

下痢、頭痛、耳鳴り、不眠など実は多くの人が化学物質過敏症になり始めているのでは。

 

悪影響のありそうなものはできるだけ排除した方がいいのでは?

 

スプレー式商品はもう使いたくない。

 

ほんとに気をつけたい。 

 

 

僕の感想

 

いや流石に不安煽りすぎではないか。

 

 

都会の人混み、新築の家、隣の洗濯物も田舎の畑もとにかく全部アウト。

 

罹患したら生活が困難になる恐ろしい病気です。

 

化学物質は排除すべし、と言う論調はやり過ぎではないかな(垂れ流しOKという意味ではない)。

 

実際にテレビ番組を観てないので、内容がどうであったかは判断できないのだが、化学物質過敏症になったけど、こう言う環境になれば調子良くなりました、みたいな例は紹介されなかったのだろうか。少なくともブログからはそう言う内容を知ることができなかった。

 

食物アレルギーは卵アレルギーの人もいればエビアレルギーの人もいる。

化学過敏症の人も(おそらく)イソシアネート過敏症やアルデヒド過敏症、アルケン過敏症、エステル過敏症って感じであるのではなかろうか。

 

食物アレルギーと違って気体成分だから温度、場所、時間で変化がいちじるしく特定が困難なので厄介ではあるが。

 

それが今の科学の限界であり、科学者はこの問題を解決するよう努める義務があるだろう。

 

 

 

それともう一点、花粉症や食物アレルギーが増えた!化学物質過敏症だってこれから増えるんじゃないの?って事に関してだけど。

 

花粉症は戦後の植林活動でスギが大量に増えたことが原因。

www.kafun-now.com

 

 

食物アレルギーは親が子供のアレルギーを心配するあまり、子供にそういった食事を一切与えないと言う極端な制限をかけてしまった事が原因。

www009.upp.so-net.ne.jp

 

 

上記二つを踏まえて、やれ柔軟剤が原因だ、やれマイクロカプセルが原因だと騒がれている昨今、企業がそのままポリウレタン製マイクロカプセルの使用量を増やすとは考えにくい。代替技術を開発する、あるいはもう開発済みだろう。

 

そしてとても重要な事、食物アレルギーがありそうな食べ物を不自然に排除した為に食物アレルギーが増えてしまったという事実。

 

化学物質を小学校などの環境から排除すれば、それこそ化学物質過敏症の大人が増えるのではないか。

 

化学物質過敏症で苦しんでいる人は本当に大変な事と思います。

周りの人の無理解はさぞ辛いでしょう。 

 

しかし、その解決には化学物質排除以外の方法を模索するべきではないでしょうか。(模索なんて悠長な事言ってられるか、と言う気持ちもわかります。)

 

所詮、人間が頭で「超クリーン」と思った、超不自然な環境というのはあまり身体に適していないのでは?と個人的に思うので、度を超した化学物質排除すべしの論調には少し待ったを掛けたいと思います。

 

機会があったら後輩が香料メーカーで働いているので話を聞いて見ようと思います。

 

 

 

 

余談だけど、ワサビの香りはイソチオシアネートって言う成分だよ。

 

反応性はイソシアネートと似たり寄ったりだけど、もうちょっと穏やかな感じ。

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昔、ワサビの香り成分から抗マラリア薬を作ろうとして見事に失敗した苦笑。

 

 

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